2020年10月22日木曜日

下手な毫(ごう)鍼 治療は受けてはいけない。

以前3つの治療についてお話した。この中で最も難しいのが気を出す治療であるといった。この木を出す治療で使われる道具が毫鍼と言われるものだ。毫鍼というと専門用語になるので難しく聞こえるが、鍼に柄がついた最もよく見るポピュラーな鍼である。鍼治療といえばこの毫鍼を普通は思い浮かべる。鍼灸学校でもこの毫鍼を安全に刺せるように訓練する。

しかしこの毫鍼が鍼灸治療で最も難しいものである。下手な者に打ってもらうと、逆に体を悪くすることもある。養生訓の著者、貝原益軒も鍼は上手な者にしてもらわなければならないと言っているが、そのとおりである。

毫鍼は灸や瘀血を出す三稜鍼と違い、技術に様々な要素が加わる。選穴、深さ、方向、手技、留める時間等である。何れかひとつが間違っていれば効果は低くなる。下手にすれば悪くなることもある。灸や三稜鍼は決め手となる要素は少ないので、瞑眩(めんげん)という好転反応は起こっても、悪化することはほとんどない。

毫鍼でよく行う置鍼という鍼を刺したまま数十分置いておく方法がよく行われているが、鍼は動かす手技を行うことにより気が動き効果が出る。体力があり、あまり悪くない人には置鍼でも効果が出ることもあるが、体力ない人、状態が悪い人が行うと悪化することがあるので注意が必要である。なお置鍼を行うときには少ない鍼数よりそれなりの鍼数を打つ治療のほうが効果がある。

この毫鍼治療が上手な治療家はほとんどいない。効果が出ないだけならまだしも、人によっては悪化することもある。その少ない名人を探すのなら、灸をしている治療家を探すほうが安全である。しかし逆に言うと毫鍼の上手な人はかなりの効果を出せる。灸や刺絡、指圧・按摩・マッサージなどの手技療法の比ではない。りょうてんも今の師匠と会うまで毫鍼の使い方が分らなかったが、今は毫鍼の凄さが実感できる。それと同時に毫鍼の難しさも判る。りょうてんの治療院での一番のおすすめ治療はもちろん毫鍼である。ただ何度もいうが本当に毫鍼が上手な人は少なく、下手なら悪化することもある。下手かどうか判断できない素人に毫鍼を気軽におすすめできない。

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